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片岡球子(日本画家)とは?

片岡球子(ふりがな: かたおかたまこ、英語: Kataoka Tamako、仏語: Kataoka Tamako)は、20世紀を代表する日本画家であり、力強い色彩と大胆な構図を特徴とする作品で知られています。1905年に北海道に生まれ、女性として初めて日展の審査員に就任するなど、日本画界における先駆者として活躍しました。片岡の作品は、個性豊かな表現鮮やかな色彩を用い、伝統的な日本画とは一線を画す独自の世界を構築しました。彼女は、文化勲章を受章し、女性画家の地位向上にも貢献しました。

片岡球子の人物伝

片岡球子は、1905年(明治38年)に北海道札幌市で生まれました。幼少期から絵画に興味を持ち、札幌師範学校(現在の北海道教育大学)を卒業後、教職に就く一方で絵画の勉強を続けました。1931年に上京し、川端龍子に師事して本格的に日本画を学び始めます。1935年に初めて日展に入選し、次第にその才能を開花させていきました。

片岡の作品は、伝統的な日本画の枠を超えた斬新な表現が特徴です。彼女は特に力強い色彩を用いることで知られ、赤、青、黄といった鮮やかな色を大胆に使いながら、独自のデフォルメ表現主義的なアプローチを追求しました。また、彼女の作品にはしばしば強烈なエネルギー内面の感情が反映されており、それが見る者に強い印象を与えます。

片岡球子の代表的なテーマの一つは「面構(つらがまえ)シリーズ」です。これは歴史上の偉人や著名な人物の顔を描いたもので、その人物の内面や精神性を大胆に表現することを目指しました。通常の肖像画とは異なり、片岡は内面の強さや個性を強調し、顔の表情や形を極端にデフォルメして描くことで、人物の本質に迫ろうとしました。

また、彼女は富士山を主題にした作品も多く残しています。片岡の富士山は、壮大な自然の力強さを感じさせると同時に、個性的な色彩と形の表現で日本画の伝統を革新するものとなりました。これらの作品は、女性画家としての地位向上に貢献すると同時に、日本画の可能性を広げることにも寄与しました。

片岡は、1956年に女性として初めて日展の審査員に就任し、その後も女性画家の先駆者として多くの後進を指導しました。1979年には文化勲章を受章し、その功績が広く認められました。彼女の芸術は個性的で自由な表現を追求し続け、現代日本画の革新者としてその名を残しています。

代表作

1. 「面構 聖徳太子」

歴史上の偉人である聖徳太子の顔を描いた作品。大胆なデフォルメ強烈な色彩で、太子の精神性を表現しています。

2. 「面構 織田信長」

戦国武将・織田信長の顔を題材にした作品で、強い個性と力強さが際立つ肖像画。信長の激しさが色彩と線で表現されています。

3. 「富士山図」

片岡の代表的なテーマである富士山を描いた作品。強烈な赤や青を使い、雄大な自然の力強さを表現しています。

4. 「花鳥図」

色鮮やかな花と鳥を描いた作品で、生命の躍動感を感じさせる一作。色彩の力強さが特徴です。

5. 「面構 徳川家康」

徳川家康の顔を大胆にデフォルメし、冷静沈着さを強調した作品。内面の強さが表れています。

現在の世界的な評価

片岡球子は、20世紀の日本画を代表する革新者として、国内外で高く評価されています。彼女の大胆な色彩と力強い表現は、日本画の伝統を革新し、新たな美の可能性を切り開きました。日本国内の主要美術館はもちろん、海外のギャラリーや美術館でも展示され、国際的にも評価を受け続けています。彼女の作品は、女性画家としての道を切り開いた功績も含めて、現代美術における重要な存在として広く認知されています。



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