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岩佐又兵衛(江戸時代の絵師)とは?

岩佐又兵衛(ふりがな: いわさまたべえ、英語: Iwasa Matabei、仏語: Iwasa Matabei)は、江戸時代初期の絵師で、狩野派に学びながらも、独自の画風を確立した浮世絵の先駆者とも言われる人物です。1578年に近江国(現在の滋賀県)で生まれ、幼少期に父親を失うなど波乱の人生を送りました。彼の作品は物語性豊かな絵巻物風俗画が特徴で、繊細な描写と劇的な構図が際立っています。又兵衛は、物語絵や風俗画の先駆者的存在であり、後の浮世絵にも大きな影響を与えました。

岩佐又兵衛の人物伝

岩佐又兵衛は1578年、近江国に武士の子として生まれました。父親は豊臣秀吉に仕えた武将でしたが、反逆の罪で処刑されてしまい、又兵衛は幼少期に困難な境遇に置かれました。彼はこの時期に絵に興味を持ち、その才能を開花させました。成人後、狩野派の絵師として学びますが、狩野派の厳格な画風にとらわれず、自由で大胆な描写に挑戦し、独自のスタイルを確立しました。

又兵衛は、人物画や物語絵を得意とし、特に歴史や伝説を題材にした劇的な場面を描くことに優れていました。彼の代表作である「洛中洛外図屏風」や「堀江物語絵巻」などは、当時の風俗や生活を鮮明に伝える貴重な資料となっています。繊細な筆遣い豊かな色彩を用いた彼の作品は、江戸時代初期の美術に新たな方向性を提示しました。

また、又兵衛は物語絵巻を多く手がけており、その絵巻は物語性感情の表現が豊かで、まるでドラマの一場面を見るかのようです。彼の作品は、物語の流れを絵で語る巧みな技術と、人物の表情や仕草を細部まで描写する卓越した観察力が光っています。このような画風は後に発展する浮世絵にも強い影響を与え、彼は浮世絵の先駆者としても位置づけられています。

又兵衛は晩年も創作活動を続け、1660年に82歳で亡くなりました。彼の物語性豊かな作品斬新な構図は、江戸時代を代表する絵師としての地位を確立しました。また、後の浮世絵師や絵巻物の画家たちに多大な影響を与え、日本美術史においても重要な存在となっています。

代表作

1. 「洛中洛外図屏風」

京都の町並みを詳細に描いた屏風絵で、当時の風俗や生活の様子が鮮やかに再現されています。劇的な構図と繊細な描写が特徴です。

2. 「堀江物語絵巻」

堀江氏の物語を描いた絵巻で、感情豊かな人物描写物語性あふれる場面展開が見事です。

3. 「山中常盤物語絵巻」

源義経の母、常盤御前の物語を描いた絵巻で、劇的な場面展開緻密な筆遣いが見られます。

4. 「浮世物語絵巻」

日常の風俗や人々の生活を描いた作品で、後の浮世絵に通じる視点が垣間見えます。

5. 「大徳寺真珠庵襖絵」

禅寺に描かれた襖絵で、静寂な空間力強い自然の表現が調和しています。

岩佐又兵衛の世界的な評価

岩佐又兵衛は、江戸時代初期の革新的な絵師として国内外で高く評価されています。彼の作品は、物語性豊かな表現繊細な描写が特徴であり、日本美術の歴史において重要な位置を占めています。また、彼の絵画は浮世絵の先駆者としての役割を果たし、後の浮世絵師たちに影響を与え続けています。彼の作品は国内外の美術館で展示され、その独創的な視点と技術は現在でも多くの人々に感動を与えています。



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